子供のアレルギーを防ぐには
2015年のアレルギー学会で、ロンドン大学の教授であるギデオン・ラック博士が、「子供たちが早い段階で敢えてピーナツを食べることによって、ピーナツアレルギーを予防できる」ことを発表しました。
ラック博士はこの研究において、親や兄弟にピーナツアレルギーの発症者がいる600名以上の生後6ヶ月から11ヶ月の赤ちゃんの保護者の協力をとりつけました。
この赤ちゃんを2つのグループに分けて、半数のおよそ300名には、医師の指導の下で、週3回以上、一定量のピーナツを食べ続けてもらいました。そして、もう半数には、ピーナツを徹底的に避けてもらいました。
その結果、5歳になった時点で、ピーナツを避けた子供のグループでは17.3%がピーナツアレルギーを発症したのに対して、ピーナツを食べ続けた子供たちのグループの発症率はわずか3.2%でした。
つまり、幼児期から少しずつ食べていた食品には食物アレルギーをおこしにくくなるわけで、卵も同じです。
なぜ幼児期から食べていた食品には、食物アレルギーをおこしにくいのでしょうか?
それは、腸に入ってきたタンパク質に対して「Tレグ」が作られるからです。Tレグ(Treg)は「制御性T細胞」の英語名の略で、数ある免疫細胞の中で唯一、ブレーキ役を担う免疫細胞です。つまりTレグが過剰な免疫反応を抑制して、炎症がおきないようにしてくれているのです。
食品によって含まれるタンパク質の種類が異なるため、その種類ごとにそれぞれ専用のTレグが作られます。そうして私たちは、多種多様な食品を食べられるようになるわけです。
要するに、アレルギーがおきやすい食品を避けるのではなく、なるべく多くの種類の食品を食べることによって多種多様なTレグを作っておくことが、食物アレルギーを防ぐ秘訣なのです。