急激、極端なダイエットに注意


急激、極端なダイエットに注意

 急激なダイエットや、極端なダイエットには、健康寿命を短くするリスクがあります。

 安全にダイエットするには、毎月1~2キロずつ減量していって、1年で10~20キロくらい減量することです。

 

▶急激なダイエットによる脂肪肝、肝臓ガンのリスク

 食事制限によるダイエットであっても、運動によるダイエットであっても、皮下脂肪がすぐに筋肉で燃焼するわけではありません。皮下脂肪は、いったん肝臓に運ばれてから代謝されます。ですから、1ヵ月に3キロ以上も痩せるような急激なダイエットをすると、肝臓に中性脂肪が集積して、脂肪肝になってしまいます。

 脂肪肝になると、だるい・疲れやすい・肩がコル・頭がボーッとするといった症状が出やすくなります。

 血液検査では「高脂血症」と判定されるようになり、肝機能を表すALT(GTP)やAST(GOT)の値が50~100IU/ℓくらいに高くなります(基準値:30IU/ℓ以下)。

 脂肪肝を放置しておくと、いずれ「脂肪性肝炎(NASH)」を発症します。さらにNASHを放置していると肝硬変になり、ついには「肝臓ガン」になる恐れがあります。

 つまり、極度なダイエットは肝臓ガンの原因にもなり得るわけです。

 

▶果物や酵素飲料のみのダイエットによるリスク

 果物や酵素飲料だけ摂取してファスティング(断食)するといったダイエットは、もっとも危険です。

 果物や酵素ジュースにたっぷり含まれる果糖は、肝臓で100%中性脂肪に変換されます。

 さらに、タンパク質が足りないために、脂肪を肝臓から血液中に送り出せなくなります。肝臓から脂肪を送り出すには、タンパク質で包む必要があるからです。

 血液中の脂肪(コレステロール)は、細胞膜や神経や副腎皮質ホルモンなどの材料として必要不可欠です。したがってコレステロールが不足すると、傷や炎症が悪化し、神経痛(痛み・しびれ)が悪化し、精神的ストレスにも弱くなります。

 

 タンパク質不足の弊害は、脂肪肝だけではありません。

 不足分のタンパク質は、筋肉を分解して補われますから、筋肉量が減ってしまいます。

 特に減少するのは足腰の筋肉ですから、足腰が弱くなって膝痛や腰痛になりやすくなり、転倒や骨折のリスクも高まります。見た目に脚が細くなっていなくても、実は筋肉が脂肪に入れ換わった「サルコペニア肥満」になっている可能性があります。

 足腰の筋肉はブドウ糖をたくさん消費しますから、筋肉が減ると高血糖になりやすくなります。

 また筋肉運動をすると、筋肉から60種類以上におよぶ生理活性物質が分泌されます。筋肉から分泌される生理活性物質は、糖尿病や動脈硬化や発ガンを防いだり、脳の神経細胞の修復を促したりする働きがあります。

 したがって足腰の筋肉量が減ってしまうようなダイエットをしてしまうと、糖尿病やガン、高血圧、心筋梗塞や脳梗塞、認知症などの発症リスクまで高くなるのです。